患者の多くは「無駄な手術」を受けていた!

東洋経済ONLINE 8/10  The New York Times より引用

 

医薬品が市場に流通するには、それが安全で効果があることを示す厳密な試験にパスしなければならない。しかし、手術は違う。米食品医薬品局(FDA)は外科手術に規制を設けていない。もし手術にも臨床試験が導入され、手術を受ける患者と受けない患者を比較する試験があったらどうなるだろう。

おそらく手術が有効でないという結果が出れば、別の治療法がとられるだろう。

だが、それは臨床試験があれば、の話だ。現状では、手術がほかの治療法よりも有効だとする根拠を問うのは、患者自身に責任があるようだ。

理学療法でも手術と同じ結果

 たとえば脊椎固定手術。変性した椎間板が起こす腰痛を、脊椎を固定することで軽減させる外科手術だ。この手術は多くの手術と違い、4回の臨床試験が実施された。その結果は、手術は理学療法など手術以外の治療法と効果は同じというものだった。手術を受けた被験者も受けていない被験者も、痛みは軽減するかなくなった。

この研究は2000年代初頭に実施され、手術が大幅に制限されるか廃止されるのに十分な結論が示されたと、オレゴン健康医科大学教授でEBM(科学的根拠に基づく医療)が専門のリチャード・デーヨは言う。

 しかし、最近の調査によるとそうはならず、反対に脊椎固定手術の件数は増加した。臨床試験はほとんど影響力がなかったのだ。

 

 脊椎固定手術の件数が減少に転じたのは、2012年にノースカロライナ州のブルークロス(民間非営利入院費給付健康保険)が保険金の支払い対象から除外し、そのほかの保険会社もそれにならってからのことだ。「科学的な証拠だけではなく、経済的に不利な条件が生じたことが作用した」と、デーヨは言う。

 

 臨床試験で効果に疑いがあるという結果が出ても、医療費が補償され続けている手術はある。

 

2009年、権威のある医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に、一般的な背中の手術である脊椎形成術について、プラセボと比較した臨床試験の結果が発表された。

 それによると、手術にはメリットがないことがわかった。

手術をしたグループもしていないグループも痛みが軽減した程度に違いがなかったのだしかし、脊椎形成術も、脊椎を補強するために医療用セメントを注入する椎体形成術も、実施され続けている。

 

脊椎形成術の論文を発表したメイヨークリニックのデービッド・カルメス医師は、医師がそれらの手術をし続けるのは保険金が支払われることと、手術を受けて快方に向かった患者の記憶があるからだと指摘する。

「患者だけでなく医師にもプラセボ効果がある」と、カルメスは言う。「術後が良好な患者は記憶に刻まれ、そうでなかった患者は忘れられる。医師は『これは効果がある』と結論づける記憶だけを残してしまうのだ」

半月板損傷の手術の必要性は微妙

ランダム化臨床試験が実施され、最近議論を呼んでいるのが半月板損傷の手術だ。半月板は薄い軟骨で、膝の衝撃を吸収する役割を持つ。半月板損傷は中年者や高齢者に多くみられ、加齢に伴う変性の結果生じ、変形性関節症を伴うことが多い。痛みがあり、膝が腫れる。

毎年、中年層と高齢層の米国人約40万人が、半月板の損傷部位を取り除くか修復する手術を受けている。

 そして興味深いのが、整形外科医はその手術の有効性に疑問を持っていることだ。

 

医師たちは膝の痛みと半月板損傷に明確な関係性がないことを認識しているのだ。

 

 中年者の膝のMRI検査を行うと、半月板が損傷していても膝の痛みがない人は珍しくない。膝の痛みを訴える人は変形性関節症を併発していることが多く、それが痛みの真の原因である可能性がある。

 さらに、手術をしても誰もがよくなるわけではない、ハーバード・メディカルスクールのジェフリー・カッツ医師は言う。「手術が確実な治療法とは考えられていない」と、カッツは指摘する。多くの医師は運動や理学療法、手術のうちどれが効果的かは不確かだという。

 

 カッツらの研究チームは、半月板損傷を患っていて膝の痛みがある中年患者を対象に、手術と理学療法を比較する臨床試験を行った。すると、手術はほとんどの患者に効果がなかった。

 

 同様の結論に至った研究はほかにもある。昨年発表された、半月板損傷手術に関する9件の臨床試験を研究したメタ分析によると、患者の多くは痛みが軽減したと答えている。しかし、手術以外の治療法でも、ニセの手術でも、痛みが減ったと答えたのだ

 

 7月にもブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに、半月板損傷と膝の痛みがあり、変形性関節症は発症していない患者を対象に手術と理学療法を比較した研究が発表された。この研究でも、手術に付加的な効果はないことがわった。論文は、手術は「裏付けとなる証拠に欠け、効果は非常に疑問だ」と指摘し、こう付け加えた。「(効果がないことを示す)確かな証拠が広く見過ごされている」

手術の選択肢は提示されるべきか

こうした手術の効果について患者にはどう伝えられるべきなのか。手術の選択肢は提示されるべきだろうか。

 

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに論文を発表した、カナダ・オンタリオ州ハミルトンにあるマックマスター大学のゴードン・グヤット教授は「個人的には、手術の選択肢は患者に伝えるべきではないと考える」と述べている。術後に軽減したのはプラセボ効果であることが研究で示されている、というのがグヤットの意見だ。

 

 医師が手術について患者に伝えるなら、グヤットが勧めるのはこうした言い方だ。「ランダム化臨床試験が信頼しうる証拠を示しており、それによると手術には効果がほとんどありません。利点があるとしてもごくわずかで、費用と合併症の可能性という欠点もあります」

 

こう聞いて、「『よし、手術を受けよう』と言う人がいるとは思えない」とグヤットは言う。

(執筆:Gina Kolata記者、翻訳:前田雅子)

 

いかがですか?

プラセボ効果 つまりよく効く薬ですよと言ってメリケン粉飲ませたら病気が治ってしまう・・・

手術そのものに何の効果が認められなくても、まじないやへんな祈祷まがいの効果があるのだから患者に真実を伝えない!!??

 

臨床試験で効果に疑いがあるという結果が出ても、医療費が補償され続けている手術・・つまり効果はなくても手術すればもうかるから??

本当のこと伝えたら手術を受けようという人がいるわけがないから??

そりゃ保険破綻するわな。そして腰痛難民、膝痛難民は増え続ける・・