先日、名医にQ 「自分で治す!腰痛」って番組が放送。昨年のためしてガッテン!にくらべ、もっと中途半端な内容と感じた。
ためしてガッテンでの
腰痛の犯人はヘルニアではない。
腰痛のない人のMRIを撮ると約80%の人にヘルニアが見つか
る。
手術をしても長期的には、手術をしなかった場合と結果は変
わらない。
腰痛の原因は85%が原因不明である。
腰痛にはストレスが関わっており、脳の問題である。
こんな世界的みれば当たり前となっている情報を知らされていなかったために、昨年しなくてもよかったであろう手術をしてしまった人が二人(それで、よくなったかといえば・・・)、病院で手術を勧められたが3か月待ちのため、別の病院で手術してもらうべく転院したところ、そこの先生に手術の必要はない!と言われ救われた人を知っている・・・。あらためて情報発信の重要性を感じたので知ってる情報を引用していきます。
カイロ院が、小顔だ 小尻だ ダイエットだ なんて言ってる場合じゃない。
強力な証拠出現
世界的に権威のある脊椎専門誌「SPINE」に2010年に発表された論文 2010年医療介入優秀論文受賞
2010カナダ・バンクーバーのビショップDCを中心とした研究チームによる「病院におけるカイロ介入の転帰研究:急性の機械的腰痛患者のメディカルおよびカイロマネージメント臨床ガイドラインに対するランダム比較試験」
と題するもので、鎮痛剤、運動療法、カイロを組み合わせた治療と、ファミリードクターにより通常行われる治療の有効性を比較した。
研究の背景には、証拠に基づいた治療が医療現場で普及していないという現実がある。1994年にアメリカ政府から発表された「成人の急性腰痛のガイドライン」をはじめとする各国の証拠に基づいた腰痛治療のガイドラインの中ではカイロが有効とされているにもかかわらず、医療現場では、医師の思い込みともいえる治療が続けられている。では一般医師の行っている方法とカイロを含む腰痛に有効との多数の臨床研究結果のある方法を直接比べたらどうなるのか、というのが研究テーマである。脊柱マニュピレーションの有効性を示す多くの論文があるが、このように医療の現状と科学的証拠を直接検証する研究は初めてである。
脊柱専門医が選択した96人の対象者を臨床ガイドライン組(カイロプラクターによる脊柱マニピュレーション、安静の回避、アセトアミノフェン服用、8週間以内の仕事復帰)とファミリードクター組(各医師が通常行っている腰痛治療を実施)に無作為に割り付けるランダム化比較試験である。カイロ治療は4週間続けられ、評価は開始から6か月後までフォローされた。
結果、身体障害を測るローランド・モリス・スコアで臨床ガイドライン組に著しい改善があり、統計的有意差があった。身体、心理、社会性など幅広い健康度を測るSF-36では、臨床ガイドライン組の改善度が高かったが、統計的有意差は示されなかった。臨床ガイドラインに沿った治療は、特に身体機能の向上に著しく役立つという結果が示された。
なお、ファミリードクター組で行われた治療は、さまざまな鎮痛剤のほか、理学療法士やマッサージセラピストによる徒手療法も含まれていた。それでも臨床ガイドライン組の改善が著しかったという結果は、カイロ・アジャストメントの特異性・有用性を改めてクローズアップさせた。
CHIRO-JOURNAL70号より引用
ここで言われているガイドライン、まずはアメリカのガイドライン、まとめておられた先生がいらっしゃいましたので、引用させていただきます。
1994年のアメリカ政府が発表した成人の急性腰痛治療ガイドライン
症状の改善のために推奨するのは次の2つである。
☆ 売薬(医師の処方によらない市販薬 アセトアミノフェンと、アスピリンを含む 非ステロイド系抗消炎薬(MSAID)
非麻酔系鎮痛薬アセトアミノフェンは、一般に鎮痛効果があるとされているが、抗炎症作用はほとんど知られていない。急性腰痛での治療における使用目的は疼痛の緩和である。NSAIDは、プロスタグランディン抑制因子であり、抗炎症作用及び鎮痛の特性を持つ。急性腰痛での治療において、NSAIDは、おそらく炎症の抑制と治癒の促進による疼痛の軽減を目的とするとされている。
アセトアミノフェンは危険性が低く、低価格である。
NSAIDには、胃腸障害などの数々の副作用の可能性がある。
☆ 脊椎マニュピレーション
(おもに手を用いて、患者の体を操作することによって行われる治療法で、米国においては、カイロプラクターによって行われるアジャストメントと呼ばれるものが代表的なものである。)
マニピュレーションは、神経根症状(下肢の痛みやしびれ・筋力低下)のない急性腰痛患者に対して発症1か月以内に用いられれば有効である可能性があり、それは科学的な研究により、裏付けされたものである。
神経根症がなく、症状が1か月以上持続している患者マニピュレーションを行うのは、恐らく安全であるが、有効性は証明されていない。
もしマニピュレーションによる1か月の治療の後に、症状の改善がみられなければ、マニピュレーションは中止し、患者は再評価されるべきである。
進行性のあるいは重大な神経学的欠損があると思われる場合、マニピュレーション療法を始める前に、神経学的な危険性を除外するための適当な診断評価が必要とされる。
筋弛緩剤およびオピオイド鎮痛薬
効果は認められるが、筋弛緩剤は眠気やめまい、オピオイド鎮痛薬は眠気やめまい・だるさ・集中力低下・視力低下・眠気・吐き気・便秘などの副作用の影響が重大であり、アセトアミノフェンやNSAIDの様な安全な鎮痛薬以上の効果は認められない。
経口ステロイドやコルヒチン・抗鬱剤
効果は認められない上、重大な副作用の可能性があり、急性腰痛の治療には薦められない。
物理療法、
すなわち冷却や温熱・マッサージ・牽引・超音波・経皮レーザー療法・経皮神経電気刺激(TENS)・バイオフィードバック法などには、明白な効果は何も確認できなかった。
一時的な症状緩和のために、患者が自分で温熱や冷却を用いるのは差し支えない。
急性腰痛の治療として、トリガーポイント・靭帯や後関節への注射・鍼治療の有効性の明白な根拠はない。
腰部コルセットとサポートベルト
急性腰痛患者の治療に効果的であることは証明されていない。
腰部コルセットは予防として使われれば、持ち上げ作業を頻繁に行う人に対しては有効である可能性がある。
急性腰痛患者は、長時間座り続けたり、重いものを持ち上げたり、持ち上げる際に、腰を曲げたり、ねじることを一時制限するべきである。しかし、長期間安静臥床するよりも、徐々に正常な生活に戻すほうが効果的である。4日以上の安静臥床は、筋力低下を招き、急性腰痛の治療には勧められない。
腰痛患者の大半は安静臥床する必要はない。主に脚の痛みを訴え、初期症状が重い場合には、2~4日の安静を選択してもよい。
ストレスの低い有酸素運動は、体力低下を防ぎ、その後の最良な状態への機能回復に有用である。腰背部の負担を最小限にとどめる、ウォーキングや自転車・水泳は急性腰痛を患ってから、最初の2週間以内に始めてもさしつかえない。急性腰痛患者の治療において、腰背部のストレッチを支持する資料はない。
外科手術
椎間板ヘルニアの外科手術
約1か月の保存療法の後
・坐骨神経痛が重度であり、耐え難い
・坐骨神経痛の症状が持続し、改善がみられない
・神経根関与の臨床的根拠がある
場合に、臨床家と患者とで話し合うことが勧められる。
標準椎間板切除術と顕微鏡下椎間板切除術が同様の効果がみられ、椎間板ヘルニアおよび神経根障害を伴う患者に適正である。
キモパパイン療法は、そのような患者に対し、有効であるが、標準椎間板切除術と顕微鏡下椎間板切除術ほどの有効性はみられない。採用が検討されるときは、患者のアレルギー反応をテストすることで、アレルギー過敏反応の発生を減少させることができる。
経皮椎間板切除術は、キモパパイン療法に比べても有効性は劣る。この療法およびほかの新しい椎間板ヘルニア外科手術療法は、対照比較試験によって効果が証明されるまでは推奨しない。
緊急を要する場合以外には、4~10年の長期の治療成果でみると、椎間板切除術と保存療法との差はあまりないようである。
急性腰痛だけを伴い、神経根症状の疑いがなく、その他の危険信号もみられない患者には、外科手術を検討する必要はない。
脊柱管狭窄症の外科手術
脊椎管狭窄症を持つ老齢患者は、日常生活活動が適切に行える場合は、保存的療法による管理が可能である。脊柱管狭窄症の発症後、3か月以内は外科手術を考えるべきではない。治療に関する決定は、患者の生活様式や希望・他の医学的問題および外科手術の危険性が考慮されなければならない。
重度で長期にわたる神経性跛行の症状を持つ患者は、減圧椎弓板切除術を受けることで、ほとんどに脚の痛みの減少と歩行能力の改善が見られる。しかしこれらの成果も時間の経過とともに失われる傾向がみられる。この療法による重篤な合併症の可能性は、他の療法に比べて確率は高いが、この療法の対象となる患者の年齢層が高いためと考えられ、容認可能な割合である。
脊柱管狭窄症の患者の外科手術は、単に画像検査の結果によるのではなく、持続的な神経性跛行症状や活動制限・認識される神経学的代償を考慮して決定するべきである。
脊柱固定術
発症後3か月以内の腰痛の治療では、骨折や脱臼または腫瘍や感染症の合併症がある場合を除き、脊椎固定術は推奨されない。
腰椎固定術にともなう合併症は頻繁に起きるとみられる。
変形性脊椎すべり症と脊柱管狭窄症を伴い、根性の痛みがある場合と、30才以下の若い患者で、重度のすべり症と強い脚の痛みがあり、固定による症状改善の可能性がある場合に有効である可能性がある。
さらに2004年のヨーロッパ14か国の専門家が参加して作成されたヨーロッパガイドラインがあります。、こちらは急性および慢性腰痛についても書かれており、さらにエビデンスレベルの高いものをベースに具体的な勧告がまとめられている。特に心の部分、社会の部分を重要視。重大な脊椎病変、悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群といったものの可能性がない限りむやみに画像診断しないことを勧告などなど。
こちらについては、
サイト名 腰痛白書
報告に基づいた一押しの腰痛治療。原因と対策・予防について
で詳しく解説されています。データに基づく詳細にわたる解説、しかも一般の方にもわかりやすい工夫された説明をされています。
それに健常者と腰痛患者との構造的な異常の有無の比較なんて1957年にすでに報告されていたとは。 先の番組では、最近になってようやくわかってきたなどという、説明がありましたが、アメリカのガイドラインが1994年に制定。何年たってるのよ。1995年には朝日新聞に連載の「現代養生訓いまどきのけんこうのひけつ」でアメリカのガイドラインがとりあげられていたらしいのに。
これまでの間にしなくてもよかった手術をしてしまった人の立場はどうなるのだろう?
このサイト、あまりにわかりやすく、感激したので勝手に紹介させていただきます。
興味のある方は、
腰痛白書
で検索してみてください。
痛みやしびれの画像診断(レントゲン、MRI)は骨折や悪性腫瘍、感染症の除外診断意味しかありません。痛みやしびれはハード(人体の構造)の問題ではなくてソフト(自律神経、記憶、情動など)の問題だからです。だから、痛みを取ることを目的とした手術(構造を変える)に関しては疑問を持たざるをえません。(引用:加茂整形外科ホームページ)
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